スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ビゼール会長の独裁」国際柔道の商業化を憂う



 米国柔道界はロンドン五輪で初の女子金メダル、2度目の銅メダルの獲得とあって、意気盛んとなった。その有力指導者の一人、米国柔道連盟理事のタッド・ノルス弁護士が「いまの国際柔道連盟(IJF)の金もうけ活動にはあまりに問題点が多いです」と述べたのには思わず、うなずかされた。所用で五輪期間中に戻っていた東京でも日本の柔道指導者たちから同種の批判をさんざん聞いていたからだ。



 私が長年、通う「ジョージタウン大学・ワシントン柔道クラブ」の師範でもあるノルス氏は「今回のオリンピック参加選手の選考でもアメリカを含め、各国にIJFへの苦情が広範にあり、日本がもっと発信をしてくれることへの期待も大きいです」とも語るのだった。



 日本から世界に広がった柔道はいま最大の変容に直面している。ごく簡単にいえば、プロスポーツとしてのビジネス化である。収入の増大を主眼とする商業化、興行化だともいえる。IJFがすべて主導して順位をつけた国際大会を頻繁に開き、上位入賞者にはみな高額の賞金を払う。その戦績で選手の世界ランキングをつけ、一定ランクに入らねば、五輪にも出られない。大会をとにかく盛り上げ、テレビの放映料やスポンサー参加、観客入場料を増大させる商業動機の優先が露骨なのだ。



 世界の柔道は試合や練習でこそ「始め」「待て」と日本語が使われてはいるが、運営ではグランプリ、グランドスラム、ランキング、ポイント、ワイルドカード、ワールドカップというような横文字の興行用語に埋もれつつあるのだ。すべて3年前の開始である。柔道を広めるためにはそれもよいという考えもあろう。だが柔道本来の精神への背反という次元の批判だけでなく、選手たちへの過剰な負担やオリンピック参加への選考での欠陥という実践面での反対も多いのである。



 そのうえにいまのIJFの不透明性が指摘される。国際活動にかかわった日本の柔道指導者たちはIJFといえば、自動的に「ビゼール会長の独裁」という言葉で特徴づける。



 ルーマニア出身でカジノの開発や経営で巨財を成したというマリウス・ビゼール氏は確かにIJFの幹部を選挙を必要としない指名の側近で固め、反対勢力は徹底して排除する。2007年には同氏のロビー工作で世界の柔道界の敬意を集めていた佐藤宣践、山下泰裕両氏までがそれぞれアジア柔道連盟会長とIJF理事のポストへの選挙で大敗させられた。



 そのビゼール会長が柔道の興行化を一貫して推してきたのだが、その決定プロセスに密室性が強く、わが日本柔道界はいまや追従のままである。なにしろIJFには正式の選挙で選ばれ、提案への投票権を持つ日本代表は皆無なのだ。講道館の上村春樹館長がビゼール氏に指名された理事という立場にあるが、その機能ははっきりしない。



 何回も世界の覇者となり、かつてIJF執行部にもあった東海大学名誉教授の佐藤宣践氏が語った。



 「このままだと国際柔道はプロ化や商業化があまりに進み、日本人が長年、育ててきた柔道には受け入れられない形になるでしょう。しかも商業性の偏重で開発途上国はついていけず、選手たちの消耗も過剰となる。日本は国際的な体験や発信能力のある柔道経験者を総動員してIJFへ強く働きかけるべきです」(ワシントン駐在編集特別委員・古森義久)



「この記事の著作権は産経新聞 に帰属します。」

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ロボつむり

Author:ロボつむり
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。